にじ345号

新年おめでとうございます

令和3年、2021年の幕開けです。
今年こそ、平穏な毎日を送ることができますよう、切に願います。
昨年は、対面の活動ができないなか、ボランティア一人一人がそれぞれの分野で活動に専心した1年でもありました。
点訳は、中・高生、大学生の授業、家庭学習、受験などのための参考書類の点訳が大きなウエイトを占め、サピエ図書館に登録する図書の製作と共に、各科目の専門分野の点訳について、研修に努めました。
音訳は、自治体等からの広報の依頼が増えるなか、より多くの方々に情報を伝えるための、聞きやすい録音図書の製作が望まれていることから、少人数体制ながら研修を継続して行いました。
テキストデイジーは、全国からプライベートの依頼が増え、テキスト化により多くのボランティアを必要とする状態になっています。2回目のボランティア養成講習会も検討しなければならない状況です。また、音声コードの製作にも取り組みはじめています。
ウォーキングは、コロナ禍にあってなかなか活動ができませんでしたが、その中で、できるだけ郊外の歩きやすいコースを選び、少人数でゆっくりウォーキングを楽しみました。ただ一人一人の脚力にあったウォーキングについても考える時期に来ているようです。
コロナの影響があり、イベントや小旅行などができなかったことは残念でしたが、各活動がその特性を生かしつつ、それぞれに取り組むべき課題も見えてきた1年だったと思います。
2021年は、それらの課題解決に向けて、前向きに進む年にしたいと思います。
そして、何より、多くの皆さんと笑顔で交流会・小旅行・バザーなどが楽しめる年となりますように心から願います!!

※ 福島県立視覚支援学校の渡邊寛子先生に、コロナ禍でも工夫して、生き生き・はつらつと過ごしておられる学校の様子をお寄せいただきました。私たちも生徒さん・先生方に負けずに、寒さにもうち勝って元気に過ごしましょう!

元気です、視覚支援学校
福島県立視覚支援学校 教諭 渡邊寛子
コロナ禍にも負けず、元気な声が廊下に響きます。点字使用の小学部1年生の入学で、手に取ってお話を選ぶ楽しみをと、秋の読書週間を機に小学部にプチコーナーができました。
ひらがなが読めるようになった弱視児童が、お昼の校内放送で詩を朗読した時、やりきった感動で感極まったのですが、でも、後に放送する高等部のお姉さんの出番が終わるまで、顔を真っ赤にして泣くのを我慢していたそうです。
4月末からの臨時休業中、新転任の先生方は、点字とがっぷり四つで、授業が再開される日に備えました。まとめのプリントや試験問題の点訳など、いきなり応用段階に果敢に取り組んだ先生方、そこを補うかのようににじの会のみなさんにフォローしていただき、6月の前期中間テストに必要な問題集はもちろん、日々のニーズにも素早く対応していただいています。
休業中、高等部生徒会役員がオンラインで話し合い、「こんな時だから、生徒会が学校を盛り上げよう!企画」『コロナに負けるな』川柳を全校生に呼びかけました。いくつかご紹介します。
コロナにまけるな マスク てあらい うがい  かんき
コロナやだ マスク てあらい ぜったいね
君のこと 大切だから 離れてる
青空に 笑顔が咲いて 上を向く
オンライン 体育で兄に 叱られる
座学だけ 意外とできた オンライン
10月8日には、中学部3年生が修学旅行に出かけました。当初は東京方面の予定でしたが、盛岡への日帰りとなりました。午前中は「視覚障がい者のための手でみる博物館」を見学し、リアルに再現された昆虫の模型や動物の剥製等、日常生活ではなかなか触れることができない物をたくさん触察することができました。午後は盛岡手づくり村で、盛岡特産の織物であるホームスパンや伝統工芸品のチャグチャグ馬コを作る体験をしました。
10月23日、保護者および小学部、中学部、高等部普通科生徒が学校周辺の商店や郵便局等へ、点字ブロックについてのメッセージが書かれたポケットティッシュやチラシを配付する活動を行いました。雨の中での行事となりましたが、安全に気をつけながら点字ブロックの大切さを伝えました。晴れている時には気づかなかった、傘をさしての歩行の仕方を学ぶこともできました。
聴覚支援学校福島校の改築工事に伴い、視覚支援学校と聴覚支援学校福島校は、約4年という長期に渡り校庭がない状況が続いていました。11月17日から校庭が使用可能となり、本校の小学部児童は、さっそく体育の授業を行い、校庭の構成、遊具の場所や種類、利用の仕方などを確認しました。18日の昼休みには、両校の小学部児童が集まり、「走り初め」を行いました。本校の小学部児童は、ラインを目印にしながら広い校庭を思いきり走ることができ、満足感でいっぱいの表情が見られました。
また、両校の児童全員で行った「だるまさんがころんだ」では、見えにくさがある児童と聴こえにくさのある児童が一緒に活動できるよう遊び方を工夫しながら、楽しく遊ぶことができました。
新型コロナウィルス感染予防のため、体を動かす機会が少なくなっている昨今ですが、今後は校庭を十分活用しながら、健康の保持増進と体力の向上に努め、見えない・見えにくいことを強みに変えて、新しい年がさらなる実りをもたらしてくれることを信じています。

1月のヨーガ教室

1月のヨーガ教室は、27日(水)10:00~
12:00です。初めての方も大歓迎です。参加される方は事務局までお申し込みください。2時間で気持ちも体もすっきりしましょう!

福島市福祉作品展で福島市社会福祉協議会長賞を受賞!!

チャレンジクラブが製作した「にじからのエール」が、福島市社会福祉協議会長賞を受賞しました!
製作に掛ける時間が少なかったなか、朝ドラの「エール」にちなんだテーマで、色とりどりの毛糸で「きらきら星」の楽譜を五線やト音記号も含めて、譜面通りに作り、点字毎日の台紙に貼って出展しました。彩り豊かな、楽しい作品です
サポートセンターの入り口にしばらく飾っておきますので、来館された際にどうぞご覧ください。

短歌・俳句・川柳

柳沼友治さん(郡山市)
年の暮れ歓喜の歌の響かざる

菅野勝仁さん(田村市)
紅葉狩り他県の車で密になる

小板橋順二さん(猪苗代町)
契りありて雪の会津嶺越えし君
命のあらば又来る春も

矢島秀子さん(南相馬市)
八年を想い浮かべる仮設あと
すでに更地はすすきの野原

穴沢勲さん(会津若松市)
美しい声につられてショッピング
使ってみたら俺には合わず

谷田川正さん(郡山市)
数多なるイルミネーションは輝きて
師走コロナを弾くが如し

三浦寛さん(国見町)
コロナ禍で七五三参りも鈴ふれず
ポンポン柏手お願いふたつ

武田栄子さん(福島市)
晩秋の庭に咲きたる山茶花の
薄紅色に鮮やかさ増す

坂下さんの 「私のおすすめ」

『永遠についての証明』岩井圭也著・・・純粋数学、個人の努力だけではたどり着くことのかなわぬ世界です。生まれながら才能に恵まれたものだけが垣間見ることのできるまばゆい世界のようです。日本が生んだ世界的な天才数学者・小平邦彦先生は「人間に備わった視覚・聴覚・味覚といった感覚と同様に、優れた数学者には数覚(すうかく)とも言うべき独特の感覚世界が存在している」と語っておられます。
「コラッツの予想」は、足し算・引き算・かけ算・割り算ができれば誰にでも理解できる定理だと言います。これならば坂下のおつむでもできるかな?
自然数を置きます。それが偶数ならば2で割ります。奇数ならば、3を掛けて1を足します。この手順を繰り返していきますと最後には全ての自然数は1に収斂するというのです。
試みに自然数6を考えてみます。偶数ですから2で割りますと3です。奇数となりましたので3を掛けて1を足します。10となりますので2で割ると5です。奇数ですから3を掛けて1を足すと16です。偶数ですから2で割ると8、さらに2で割ると4、さらに2で割ると2、さらに2で割ると・・・あらら不思議!本当に1となりました。興味のある方はいろいろな数字を当てはめて遊んでみてください。
1937年、ドイツ人数学者、ローター・コラッツにより問題が発表されました。2020年、現在に至るまで、数論の未解決問題として世界の数学者はもとより幾多の愛好者たちが取り組み続けてきました。
今なおなぜこのような定理が成立するのか、それを証明することができずにいると言います。
このような数学の未解決問題を主題として取り上げている小説も過去幾つか発表されてきました。
当然、著者たちは数理学には一家言ある面々です。どうしても筆が走り、その深遠な世界へと物語は沈潜して行く傾向があります。いかにして筆の運びを抑えて読者の好奇心をつなぎ止めるかが勝負となります。多くの読者は数学の専門家ではありません。物語の半ばで何が何だかわからなくなり「一人で勝手に遊んでろ!」と手にしていた本を投げ出してしまいかねません。坂下も何度か途中で挫折した経験があります。
少年の日、三津谷(みつや)瞭司(りょうじ)の目には、常に輝き、流れ続ける数列が見えていました。そしてうっそうとした森の枝葉の一つ一つ、全ては美しい幾何学的な曲線を描いていることに魅了され、陶然たる思いで毎日を過ごしていました。それらのことどもは周囲の人々すべてに共有されていることと、なんの疑いもなく信じていました。
友人との語らいの中、数学の素晴らしさ・美しさを夢中になり語り続けるとき、「おまえの話は面白くない」、憮然とした様子で皆離れて行きます。中学の数学の時間では、女教師に全く覚えのないカンニングという濡れ衣を着せられ呆然とします。少年の繊細な神経は耐えがたいまでに傷つけられていきました。
高校に進学したとき、ようやく三津谷少年を理解してくれる教師に巡りあいます。尋常ならざる才能が認められ、理数系大学特別推薦学生として進学します。
そこでは数学オリンピックまで勝ち抜いた素晴らしい能力を持った仲間と、研究と学生の教育に揺るぎない実績を構築してきた指導教授にも恵まれました。
一般新聞でも「21世紀のガロア現れる」などとその才能は数学界にとどまらず注目を集めます。二人の同学とともに、現代数学の水準では証明不可能とされているコラッツの定理に取り組みます。
数年を経たとき、一人の友はアメリカへと研究のために留学し、またある友はコンピュータサイエンスの世界へと去って行きます。力強い支えとなっていた指導教授もさらなる高みを目指して国立の数学研究所へと移籍して行きます。研究者として充実していた三津谷青年は、再び恐怖に満ちた孤独の世界に打ちのめされます。飲めもしない酒を飲み続け、肝硬変・静脈瘤破裂によって若き才能は散っていきます。
天才が残した研究ノートはインターネットを通じて世界の数学者に開示されました。それを見た一人の少年、「目の前で真っ白な光が爆発しました!僕ならばこれを証明できます!」
数学の才能は、10代・20代で劇的に開花すると言われています。30代を迎えますと、その才能も枯渇して行くことが自覚されると言われています。激しくきらびやかな世界であるとともに、なんとも恐ろしい世界でもあるようです。(点訳・音訳あり)

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特定非営利活動法人にじの会


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