にじ342号

読書の秋! 特集号

今号には、点訳書・音訳書・テキストデイジーの情報が満載です。タイトルや紹介文に触れるだけで興味がわき、本を読めばさらに奥深い楽しみがあります。
ステイホームで、どこにも行けない、誰も来ないお盆・夏休みでしたが、点訳・音訳・テキストデイジーがあるから充実した毎日を過ごせた会員も多かったようです。ボランティア活動は、ボランティア自身の心も充たしてくれることを確認した夏でした。
そんな中でできあがった点訳・音訳・テキストデイジーの図書をどうぞお楽しみください。

ウォーキング再開します 10月は文知摺観音
周囲の山々が色づく晩秋に文知摺観音を訪ねます。「みちのくのしのぶもぢずりたれゆえに・・・」と古今集に詠まれ、芭蕉や子規も足を運んだ境内には、悲恋の伝説を今に伝える文知摺石や県指定重要文化財の多宝塔、多くの句碑や歌碑を見ることができます。
日にち:10月28日(水)
集合:あぶくま親水公園駐車場 12時40分
解散:文知摺観音前駐車場 14時30分
※ 集合時間が早いのでご注意ください。
※ 駐車場及び目的地までにトイレがありません。
※ 集合場所と解散場所が異なりますので間違えないようお願いします。
飲み物は各自ご持参ください。雨天時は中止いたします。

お知らせ
●「視覚に障がいのある方が新型コロナウイルスに感染し入院したら」という医療従事者と支援スタッフのためのサポートガイド(国立がん研究センター作成)があります。A3を二つ折りした4ページのパンフレットです。「病院でこんなサポートがあると見えない・見えにくい方は入院時に安心できます」として、受付・ガイド、説明の仕方などがイラストで具体的に説明してあります。サポートセンターにじにありますので、関心のある方はどうぞ。

短歌・俳句・川柳

柳沼友治さん(郡山市)
花の香やむせび巡りぬ菊花展

佐藤八重子さん(福島市)
通院を控えてみたら健康に

宮崎英幸さん(福島市)
極まるる暑さ続くに季(とき)は早や
秋に入るらし虫の音(ね)を聞く

武田栄子さん(福島市)
白球が空に消えゆく甲子園
若き人らの歓声ひびきぬ

穴沢勲さん(会津若松市)
おいコロナ何しに来たの会津まで
白虎隊がおまえを叩く

矢島秀子さん(南相馬市)
憎からずおもうていたにくもの囲の
主は捕らわれ生き餌となりぬ

小板橋順二さん(猪苗代町)
夢のせし高原列車の駅ススキ
想い流るる安達太良の雲

山本敦士さん(伊達市)
マイクロかピコかは知らぬウイルスに
負けてたまるかホモサピエンス

清野隆一さん(郡山市)
夕涼み季節静かに模様替え
家路の花壇落ち葉で染めて

三浦寛さん(国見町)
クラスター・インスタグラム・テレワーク
肩で風きるカタカナ言葉

谷田川正さん(郡山市)
秋味覚栗のお強飯(こわ)を炊き食べる
梨と葡萄をデザートに添えて

坂下さんの 「私のおすすめ」

『1968三億円事件』日本推理作家協会編・・・昭和43年(1968)12月10日午前9時30分、東京都内府中市で起きた3億円強奪事件は、昭和50年(1975)12月10日、公訴時効・成立、未解決事件となりました。
昭和を代表する大事件としてご記憶の方もたくさんおられることと思います。一人の死者もけが人も出すことなく鮮やかに現金輸送車を奪取し、そのまま東京都内人口密集地の中へと消え去っていった犯人。日本犯罪史において最も有名な事件の一つとして数えられ、また一切の暴力行為を伴うことのなかった完全犯罪としても記憶されています。
当日は地元金融機関の現金輸送車が、東京芝浦電気(現・東芝)府中工場従業員のボーナス約3億円を輸送中でした。金融機関の職員・運転手・警備保障会社の職員がその任務に当たるという厳重な警備体制を取っていました。その輸送車を一台の白バイが急追してきました。支店長宅が爆破され、この車にもダイナマイトが仕掛けられていることがわかったので安全のために下車し避難するように命令されました。
白バイ隊員は車の下を捜索、ダイナマイトを発見し大声で告げました。激しい炎と煙。白バイ隊員は運転席に乗り込み現金輸送車を急発進しました。避難していた職員・警備員たちは車の爆破による被害を最小限にとどめるための勇気ある行動と思い込み、賞賛のまなざしで眺めていたと言います。
しかし直後異変に気づきました。残された発煙筒、乗り捨てられた白バイは、警視庁標準車種であるホンダ車とは異なるヤマハ製を改造したものであること、シートカバーを引きずった状態で走行し放置されていたこと、直ちに警視庁と銀行本社へと急報されました。
府中市を中心に警視庁は厳重な警戒線を張り巡らせました。輸送に当たった関係者により犯人の姿が見られていること、多数の遺留品の存在、これらから犯人逮捕は間近、確実とみられていました。
10数万人に及ぶ警察官の投入、数々の難事件を解決に導き、警視庁にその人ありと言われた平塚八兵衛刑事の投入、・・・しかし犯人の消息は杳として知られずに今に至っているのです。
死者やけが人を出すことなく経過したとはいえ、この事件はその後多くの人たちの人生を狂わせました。余りに鮮やかな手口に、内通者の存在が疑われました。警備保障に当たった職員は退職を余儀なくされ、その後の就職活動にも苦しめられ続けたと言います。また現職白バイ隊員の弟が、事件後数日を経たころに青酸カリを服毒し、謎の自殺を遂げていたことがわかりました。当然少年の素行・周辺が厳重に調べられましたが、事件とは無関係であることがわかりました。
毎日新聞は大誤報をしています。犯人を特定したと、いきなり全国紙に実名・顔写真とともに、学歴・職歴・性格・家庭環境まで事細かく暴露したのです。警視庁の取り調べの結果全く無関係の一般市民であることがわかりました。毎日新聞は当然訂正記事を発表しましたが、犯人扱いされた方は、その後の人生で大変な被害を被り、苦しめられ、ついには失意の内に自ら命を絶っているのです。
現在の金額に換算するならば20億から30億円、これだけの金額ですから金遣いの荒い者が出ても不思議ではありません。また複数犯人ならば、金銭を巡っての争いがおこり、犯罪そのものが露呈しても不思議ではありません。緻密で粘り強い継続捜査にもかかわらずそれらの気配はおろか、事象そのものさえも全く捕らえることができなかったのです。
その当時の社会情勢は全共闘による学生運動が荒れ狂い新宿騒乱事件・東大安田講堂事件とまさに日本社会全体が発熱状態にあったのです。
今回の書物では5名の人気作家による、密度の高い作品集が編まれ、時代の移ろい、人間模様が鮮やかに描き上げられています。(点訳・音訳あり)

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