にじ341号

点字講習会が始まります

中止となるイベント・行事が多いなか、腰の浜会館主催の福島市点字講習会が、コロナ対策を十分に行った上で開催されます。
毎年多くの市民の方に受講していただき、にじの会の点訳ボランティアは全員この講習会の修了者です。ボランティアの仲間を増やすため、今年も会員が講師を担当しますので、お近くの方で、点訳をしてみたい方、そこまで行かなくても点字を覚えてみたい方がおいでになりましたら、声を掛けてください。
期間 2020年9月2日(水)~毎週水曜日
入門講習会6回、基礎講習会12回
時間 13:30~15:30
会場 腰の浜会館(福島市腰浜町32-1)
電話 533-5261
問い合わせ・申し込みは腰の浜会館にお願いします。(火曜日休館)

点字学習指導員養成講習会を受講して

6月~7月に毎年行われている点字学習指導員養成講習会を受講された方の感想をご紹介します。前年度点字講習会を修了した方が受講しています。

今まで点訳を中心に学んできましたが、今回この講習会を受講して、点字を必要としている方々についていろいろと学ぶことができました。
視覚障害も先天性の方もいれば中途障害の方もおり、その原因も様々であること、その経過によって点字の受け入れ方も変わってくること、《目が見えない》ことは不便ではあっても不幸ではないこと、生活の中での様々な工夫によって《目が見えないこと》を補い、日常生活を送ることができること、すべてを助けるのではなく、その方が必要なところを把握し、サポートすることが大切であること、など今まで気付かなかったことをたくさん学ばせていただきました。
点字は情報収集のための一つの手段ですが、使う方にとって、スムーズに情報が得られるよう留意しながら点訳を行いたいと思いました。ありがとうございました。(佐藤恵美子)

お便り
新潟県上越市にお住まいで、この会報を熱心にお読みくださっている中村利香(としこ)さんからのお便りをご紹介します。数通分から抜粋させていただいています。

この高田の地は今紫陽花の花がそれは鮮やかで、蓮も神々しくちらほら咲き始めています。皆さまお変わりないでしょうか。
皆さまは点訳に携わっておられるのでいろいろな本と出会い、きっと日々新しい楽しい発見があると察しています。私は、大人の本、児童書にかかわらず外国の本が大変気に入っています。それはそこの国の文化や自然、食や生活を知ることがかなうからです。
『自由への道』はやさしい言葉で書かれた児童書でした。同じ人として生まれたのに、肌の色が黒いだけで、白人はなぜあんなにむごたらしいことができるのか。これは誰の心の奥にも潜む弱い者いじめの心理でしょうか。この本の主人公の女性は運命の道をたくましくみごとに切り開いていて感銘を受けました。
先頃、私が拝見して名作と思ったのは、「シーラスシリーズ」というデンマークの児童書です。シーラスという一人の少年が実の母から独立し、旅を通していろいろな人たちと出会い、成長していく姿がデンマークのみずみずしい自然とともに描かれておりました。
福島の方とはどうやらご縁があるようで、「きょうも誰かが悩んでる」(会津若松市の点訳サークルひよこ点訳)は心豊かに拝見いたしました。この物語には百年の時が刻まれていますが、昔の女性は今の人に較べて立場も弱く、戦争が闇を一層深めたのだと思います。私はありがたいことに人にもめぐまれ、感謝の言葉しか浮かんできません。目が見えていたなら果たして幸福かどうかは分からないと実感しています。瀬戸内寂聴さんは、こうおっしゃっています。「今を一生懸命生き、先のことは決して思い煩うな」と。皆さまとの縁を大切に紡ぎ日々を精進して参ります。
皆さまの会報は毎月楽しく拝見しています。話題が豊富で真心を感じます。これからもよろしくお願いいたします。

短歌・俳句・川柳

柳沼友治さん(郡山市)
大夕焼けコロナコロナを焼き尽くせ

佐藤哲哉さん(福島市)
水林でエールの音になりたがる

宮崎英幸さん(福島市)
豪雨にて氾濫したる最上川の
ニュースに芭蕉と茂吉偲べり

三浦寛さん(国見町)
梅雨の朝紫陽花葉の上かたつむり
でんでん情緒今はみられず

谷田川正さん(郡山市)
夏バテに赤梅緑茶バッチリと
黒酢ゴーヤも血糖下げる

矢島秀子さん(南相馬市)
あっけなく取り壊されることだろう
囲炉裏囲んだふるさとの家

小板橋順二さん(猪苗代町)
手引かれて川沿い行けば山百合の
匂いやさしく瀬音涼しき

武田栄子さん(福島市)
我が庭の家庭菜園茄子トマト
次々なりて卓を彩る

穴沢勲さん(会津若松市)
福島の桃をガブリと舌つづみ
酒の肴にロックがすすむ

スマイルワン仙台からのお知らせ 短期視覚障害リハビリテーション

見えない・見えにくくなってもちょっとした動作の工夫や用具を活用することで生活が楽になることがあります。そんな生活の工夫を学んでみませんか?
期日:10月19日(月)~23日(金)(4泊5日)
申込締切:9月18日(金)
会場:スマイルワン仙台
対象:東北及び新潟在住の見えない・見えにくい方、初参加を優先します
定員:若干名  費用:9,000円
内容:白杖歩行訓練、日常生活動作訓練(調理や掃除)、パソコン訓練、点字訓練、盲導犬歩行体験などご希望に応じます。
申込み方法:申し込み用紙を郵送またはFAX
※ 支援者やご家族の方向けの一日講習会等も実施予定です。日程等詳細はお気軽にお問合せ下さい。
問合せ、ご相談:日本盲導犬協会 スマイルワン仙台 ユーザーサポート部
〒982-0263 仙台市青葉区茂庭字松倉12-2
TEL:022-226-3910
FAX:022-226-3990

お知らせ
● 福島市社会福祉協議会主催の「ふれあい広場」が開催されます。今年は体験型の内容は中止となるため、点字体験、点字しおり作りはできません。にじの会としては、会のパンフレットを来場者に配ったり、点字一覧表の掲示などを行います。また大型スクリーンで、「初めてのガイド」のDVDを紹介したいと思います。
日時:9月13日(日)11:00~15:00
会場:イオン福島店西側駐車場

坂下さんの 「私のおすすめ」

『大帝の剣 1~4』夢枕獏著・・・漫画やアニメーションの世界は水準の高いものが次々と発表され、洗練された日本文化として諸外国にも広く認められ、多くの熱狂的な愛好者の支持を得ているようです。それらの内容を耳にするとき面白そうだな、読んでみたいなとの思いに駆られるものもいくつかありました。かつて「旧約聖書」「ユークリッド幾何学」といったものさえも漫画として発表されていることを知り驚きました。普段お世話になっている方に、そのようなことをふと雑談でお話したところ、すぐに書店で見ていただいたとのこと。「坂下さん、この前のお話いろいろと調べて見ました。しかし朗読、点訳の図書とするには限界があり、漫画独特の表現世界はその内容の半ばも伝えきれないですね」との一生懸命なお話を伺い、ただただ恐縮したことがありました。
サピエ図書館にも、高名な漫画作家の有名作品が音訳・点訳図書として所蔵されています。それらの幾つかを読ませていただいたことがあります。「まさか、これがあの有名な作品なの?」・・・それらへの感想はただ一言、雑駁・浅薄、がっかりしたことを覚えています。(身の程知らずの軽薄な発言であることは百も承知・二百も合点ではありますが、そんでもなあ…)
その強烈な表現主体が描画によるものであり、添付された活字媒体は筋道の運び、進行を伴奏する補完的なものであるならば坂下の感じた違和感も当然のことであり、必然のことでもあるのでしょう。
しかしです。これがひとたび、腕ききの作者により物語として編み上げられるとき、その世界は一変します。今回取り上げた作品は、時代伝奇小説を語り始めたら当代随一・夢枕獏大先生!「大帝の剣」が漫画作品として発表されていることは耳にしていました。それが読み物として発表されサピエ図書館に登録されているのを見つけました。坂下、一も二もなく飛びつきました。
元和元年(1615)大阪夏の陣。豊臣は滅び、徳川の時代となりました。密かに秀頼の血筋を次ぐ姫君・舞は真田十勇士の残党に守られ成長します。しかし時代の体制は、すでに動かしがたく決していました。
にも関わらず徳川にとっては、豊臣の血筋を次ぐ者の存在を見逃すわけには行きません。服部半蔵に率いられた伊賀忍者が密かに闇の中走ります。そして背に六尺を超える大太刀をおった快男児・万源九郎が姫君を守り江戸へと向かい旅立ちます。さらにはこの時代を走り抜けた宮本武蔵・佐々木小次郎・柳生十兵衛・天草四郎時貞・猿飛佐助・霧隠才蔵……。いやはやなんともこれ以上はないと言うほどの豪華な顔ぶれが次々と登場します。豪剣が唸りを上げ、忍び刀・手裏剣が飛び交います。そして闇の中に、天かける船が、目もくらむような炎を引き、走り抜けて行きます。
地球誕生以来45億年。原始・海洋に生命がめばえて38億年。この地上には、生物が満ちあふれ急速な進化を遂げる中で、互いに食い食われ、殺し殺され歴史を刻み今に至っているのです。
シッダールタは生まれ・育ち・病み衰え死にゆくことこそが現実であり無情であることを仏の教えとして、それこそが自然の摂理であり宇宙の理であることを説きました。ガブリエルは、時の流れは有限であり、そのときこそ神の裁きの時であると語り続けます。天かける船に乗り、駆け下ってきた神々は、人間の体へと憑依します。数万年の時を経て繰り返される滅びと再生こそが自然の理である。その滅び行く時の流れを食い止めることこそが生命体のなし得ること。人類の知恵ではとうてい理解もできない御技の数々を駆使しそれぞれの神々の存在をかけて戦いを繰り広げます。 過去人類の歴史の中で名を残した哲人・思想家・宗教家たちが今まで繰り返してきた根源的な問いかけを物語全編にわたり、重厚な筆致で編み上げます。桁外れの仕掛けと、ど迫力で物語が紡ぎ上げられて行きます。(音訳あり、点訳・映画ノベライズ版あり)

お問い合わせ先

特定非営利活動法人にじの会


〒960-8074
福島市西中央2丁目23-1
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FAX:024-529-7031

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