にじ373号

ボランティア養成講習会
2023年度がスタートしました。今年度こそ通常の活動が無事に行えるよう願っています。
ボランティア養成講習会は、5月のウォーキングボランティア講習会から早速スタートしました。
音訳講習会は、6月1日~7月6日、午後1時30分~3時30分、毎週木曜日、6回、腰の浜会館で、
点字入門・基礎講習会は、9月6日~1月17日、午後1時30分~3時30分、毎週水曜日、18回、腰の浜会館で行われます。
共に活動する仲間が新たに加わることが、活動を途切れなく続けていく原動力になります。お近くに、ボランティア活動に関心のある方がいらっしゃったら、ぜひ情報をお伝えください。新たな仲間が増えるようご協力をお願いいたします。音訳・点訳の講習会の申し込みは、腰の浜会館(電話:533-5261)です。

「困ったときのにじの会」、感謝!
福島県立視覚支援学校
教諭 渡邊寛子
私がにじの会を知ったのは、丁度20年前、中途失明して国立塩原視力障がいセンターで生活訓練を受けて職場復帰を目指そうと福島市へ転居してきたばかりの時でした。
入所する前にベテランの歩行訓練士さんから保健福祉センター内の活動場所へ連れて行っていただき、早速点字の会報「にじ」をいただいて帰りました。5月のゴールデンウィーク明けの入所に向け、4月号を必死で触読しました。大学時代に点訳サークルで4年間、ライトブレーラーの経験があるとは言え、左右逆の触読は、根気のいるものでした。子供達が保育所や小学校へ出かけた家事の合間に、10日以上かけて読みました。ゴールは何ページか確かめてから、半分までくるのがとても長かったです。
金曜日の夜に帰ってきて、日曜日に塩原へ帰る生活が始まり、5月号は、土日で必死に触読し、読んだ分はホチキスを外して、残りの紙だけセンターへ持ち帰りました。6月号は土日だけでほぼ読み切ることができました。
会報で使われている数字や、記号、分かち書き、正しい表記が私のお手本でした。その中で、触地図を作成していることを知り、自宅周辺の地図をお願いしました。保育所や学童保育、小学校、転勤を目指している盲学校の場所を入れていただきました。
7月末の阿武隈川の花火大会では、暗闇の中で7月号を触読し、音声時計で時間を計って、1ページ10分は切れていることを確認しました。場所取りから含めると3時間弱で20ページ。当時、暗闇だからこそ見える花火の光と音、屋台の焼き鳥の匂いと味、五感をフルに活用した点字での触読は、花火を見上げている観客の中でも、私だけだろうとちょっと誇らしくなりました。
触地図の代金のお支払いに、保健福祉センターへ歩いて行くことも私の歩行訓練の応用でしたし、習い始めて3ヶ月で「10分切れる人は少ない」と教えていただき大変励みになりました。その後も、空のリュックに点字本3巻を詰めてもらって帰ってきたり、駅前ロータリーの触図をいただき、数年後に改訂されたときも、生徒の歩行訓練に役立てる前に自分が理解しないと、と活用させていただいたりしました。
職場復帰した年に、英語の授業も担当したので、略字表のわかりやすいものを点字で届けていただき、それがUEBになった今でもいざというときに役立っています。
復帰して19年、国語科・図書担当として児童生徒達の読みたい本を速やかに届けていただいております。大学進学する生徒の赤本や、小学生の教科書に掲載されているお勧めの読み物でサピエにはないものの迅速な点訳、児童の発達段階に応じた読み物を片面、両面、実態に応じて提供いただいて視覚障がい教育の一端を支えていただいております。
点訳だけでなく、かつては、図書室の墨字本の透明フィルムカバーかけ、高等部生徒会誌の製本、創立
120周年記念誌のデイジー制作(点字版は自校制作)、様々な見え方の弱視生徒との読み物としてテキストデータ制作など対応していただきました。
昨年夏には、私が実行委員長を拝命した日視連の第68回全国視覚障害女性研修大会、急遽ハイブリッド開催に変更とは言え、会場でレポート発表する方、運営に当たる全国の役員の方々のお迎え、トイレ誘導など、きめ細かく対応していただき大変心強かったです。
公私ともに、「困ったときの『にじの会』」ということで感謝しております。
今後とも点字使用児童生徒を共に育てていただければと思います。頼りにしてます。

短歌・俳句・川柳
柳沼友治さん(郡山市)
花吹雪浴びて進むも息苦し

菅野康男さん(福島市)
脱マスク私まだムリ花粉症

武田栄子さん(福島市)
遠き日に梅の香ただよう梅園を
思いおこしぬ朝な夕なに

穴澤勲さん(会津若松市)
大谷や村上選手ミラクルだ
サムライニッポン世界の頂点

矢島秀子さん(南相馬市)
青空も河津桜も木蓮も
覚えているよ瞼の裏に

三浦寛さん(国見町)
絶叫のアナウンス向こうにヌートバー
スタンド総立ち侍踊る

小板橋順二さん(猪苗代町)
千年の歴史見つめし滝桜
終わりなき世か我欲と戦争

清野隆一さん(郡山市)
街灯が照らす葉桜人はなく
満開の日を心に春過(しゅんか)
谷田川正さん(郡山市)
春うらら桜前線急ピッチ
若人力集いてあつし

お知らせ
●国民生活センターから2023年版「くらしの豆知識」(デイジー版)が届いています。ご希望の方に貸し出しいたします。
●国立国会図書館では新しい障害者用資料検索「みなサーチ」β版を3月28日に公開しました。みなサーチでは、目の見えない方・見えにくい方、活字の図書を読むのが難しい方などが、利用しやすい形式の本をどこにいったら読むことができるかを調べ、利用しやすい形式の本をダウンロードして、自分のパソコンやスマートフォンで読んだり聴いたりすることができます。みなサーチβ版では、約247万点の「全文テキストデータ」を利用できます。みなサーチのちらしが届いていますので、墨字版、テキスト版、点字版で提供できます。ご希望の方は事務局にご連絡ください。

今月のイチオシ!図書

にじの会が活動を始めた1983年は、インターネットが誕生し、ファミコンが発売され、東京ディズニーランドが開園し、朝の連続テレビ小説「おしん」が、最高視聴率62.9%を記録した年でした。そのころにはどんな本がよく読まれていたのでしょうか。すべて、サピエに点訳・音訳ともに登録されています。
『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子著:国内での累計発行部数は800万部を突破し、日本国内で、戦後最大のベストセラーと称される。「君は本当は、いい子なんだよ」。トモエ学園のユニークな教育とそこに学ぶ子供たちをいきいきと描いた自伝的エッセイ。
『探偵物語』赤川次郎著:物語はたった6日間。中年探偵とフレッシュな女子大生のコンビで贈る、ユーモアミステリ。映画化され、薬師丸ひろ子の主演で話題となった。
『ひとひらの雪(上・下)』渡辺淳一著:妻子ある建築家は、部下を愛する一方で美貌の人妻にも惹かれていく。二人の間で揺れ動く男。ひとひらの雪にも似た美しくも妖しい、そしてはかない男女の愛を描く。
『二つの祖国(上・中・下)』山崎豊子著:真珠湾、ヒロシマ、東京裁判。戦争の嵐に翻弄され、身を二つに裂かれながら、祖国を探し求めた日系移民一家の劇的運命を描く。
『生きていく私(上・下)』宇野千代著:明治、大正、昭和、平成と生き抜いてきた女流作家が、波乱の人生行路を率直に綴る。山口県岩国の生家と父母の記憶から書き起こし、小学校代用教員の時の恋と初体験、いとことのはじめての結婚、新聞懸賞小説の入選、尾崎士郎との出会いと同棲、東郷青児、北原武夫とつづく愛の遍歴。時代の波にも揉まれながら、たゆみなく創作を続け、ひたむきに歩いてきた姿が心を打つ。
『人間万事塞翁が丙午』青島幸男著:呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋〈弁菊〉。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出会いながらも、持ち前のヴァイタリティで乗り切ってゆく。戦中から戦後へ、激動の時代をたくましく生きた庶民たちの哀歓を、自らの生家をモデルにいきいきと描き出した、笑いと感動の下町物語。
『峠の群像(上・中・下)』堺屋太一著:関ヶ原の戦からほぼ百年、戦国の風はすでに遠のき、絢爛たる元禄文化が花開いた。しかしその陰で時代は大きな峠にさしかかりつつあった。貨幣経済という怪物が世の仕組をゆるがせ始めたのだ。「忠臣蔵」の経緯を、この変動の時代の流れのなかで捉え、独自の視点で描いて大河ドラマとして多大な話題を呼んだ長篇歴史小説。
そのほか、鈴木健二アナウンサーの「気くばりのすすめ」、穂積隆信著「積み木くずし」、井上ひさし著「吉里吉里人」などが読まれていました。

点字図書差し上げます
当館の貸出図書をご希望の方に差し上げます(先着順)。今回差し上げる本は今号までです。ひもとじと製本があります。カッコ内は巻数。
1.「イラッとくる」の構造(2)
2.アサギをよぶ声 2 新たな旅立ち(2)
3.いないも同然だった男(3)
4.帰天城の謎 TRICK青春版(3)
5.定年上手 人生後半の設計図(3)
6.ぼくの絵本じゃあにい(2)
7.魔法のハサミがやってきた!(1)
8.名作の中のお菓子物語(2)
9.竜宮ホテル迷い猫(3)
10.打たれ強い心を作る空海のコトバ(2)
11.「バタバタしない」技術(2)
12.だいすき!カボチャのおくりもの(1)
13.バターサンドの夜(3)
14.王さまかいぞくせん(1)
15.ぼくとテスの秘密の七日間(3)
16.太陽の戦士(5)

お問い合わせ先

特定非営利活動法人にじの会


〒960-8074
福島市西中央2丁目23-1
TEL:024-529-7021
FAX:024-529-7031

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