にじ300号

      300号を迎えました!

 1992年5月1日、第1号発刊から数えて今号で300号を迎えました。現在、墨字版・点字版・CD版などをあわせて約600名の方に毎月お届けしています。毎月お読みいただきありがとうございます。
 第1号には、福島市の目黒伸一さんから「いつも前向きなにじの会から会報が毎月発刊されると聞き、嬉しい気持ちでいっぱいです。何事もまず始めることが大切でしょう。また続けることがもっと大切だと思います。利用者も協力を惜しみません。頑張ってください。」という励ましの言葉をいただき、「続けること」を目標に発行してきました。
 これからも、「続けること」それに加えて、「前向きであること」を心にとめて、「にじ」をお送りしたいと思います。
 これからも皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

     「にじ」は4次元ポケット
      福島市 小野祥一郎
 56年前、12歳で失明したとき、文字は読めず一人ではどこへも行けませんでした。今は、駅員さんが連絡を取り合って乗り換えをサポートしてくれるので、福岡と埼玉の孫たちに気楽に会いにいけます。まるでタケコプターで行くみたいです。
 「にじ」は私にとって4次元ポケットのようです。おもしろそうな本も便利そうなグッズも興味がわくイベントも紹介されます。以前は読みたいと思った本の点訳データをフロッピーで送ってもらいました。今は「サピエ」に直接アクセスして、本だけでなく映画や雑誌も楽しんでいます。まるで我が家に図書館や映画館へのドアができたみたいです。
 お知らせで紹介され申し込んでから、列車時刻表もカレンダーも届きます。
 楽譜の点訳を研修しているとの紹介がありました。普段カラオケでよく歌っている曲の楽譜点訳をお願いしました。するとどうでしょう。しっかり覚えたつもりの曲の音階がまるで違うことに愕然としました。ピアノでメロディーをたどれない理由がよくわかりました。
 毎月新しいポケットからどんな楽しさや驚きが飛び出すか楽しみにしています。

     「にじ」300号発行に寄せて
             郡山市 柳沼友治
 会報「にじ」の第300号の発行本当におめでとうございます。一口に300号と言っても、毎月1回の発行ですから単純に計算しても25年はかかるということになります。丁度その頃、私は持病の難病のショックから立ち直り、第2の人生をスタートした頃と重なります。その頃開設された郡山市障害者福祉センター主催の各種の講座に通い始め、いろいろな障害を持った皆さんとの交流があり、当時誕生し始めたボランティアの皆さんとの出会いもありました。そんな中で、にじの会の会員でもあった方から誘われて、交流会にお邪魔したのが私とにじの会との出会いだったと思います。活発な活動を展開され、点訳ボランティアグループから一気に音訳、行事での介助、それに様々な講座や教室を独自に開かれ、視覚障害者のための国内でも有数の総合ボランティアグループに発展されました。そして県内外を問わず多くの視覚障害者の日常生活での質の向上にご尽力下さっておられ、感謝の気持ちで一杯です。この間、私も県中方部の盲人協会で文化部を任され、機関誌作りに携わり、にじの会には長年に亘って点字版の製作で大変お世話になっております。個人的にも交流会やバザー、それに小旅行などにも参加させていただき、楽しく過ごさせていただいております。今後とも親しみのある、暖かい雰囲気の感じられるにじの会であって欲しいと願っております。
  病癒え再スタートを切る吾は
        架かりし虹のアーチくぐりぬ
  手引かれつわんこそばなど掻き込みて
        触れて見らるる博物館へ
  蝉時雨浴びつ町行く車椅子は
        気持ち高ぶる交流会へと

     にじと私 川柳
              パソコンクラブ
できたての「にじ」をなぞりて気持ちよし(山田麻理)
指先が習い始めの点字読む(丹治恵子)
会報はみんなのこころのよりどころ(浦上仁志)
ありがとうボランティアにじの皆さん(佐藤八重子)ウォーキングした日はうまい発泡酒(佐藤哲哉)
パソコンが見えない暮らしに虹かける(菅野則夫)
にじ開き回想してたらもう3時(菅野康男)
にじの会楽しみ多きパラダイス(本多春美)

     にじ300号に寄せて
              福島市 宮崎英幸
月々の会報「にじ」はさながらに
      人生行路の羅針盤のごと
ウォーキングは脚力のみか短歌生む
      機会を吾にもたらしにけり
目の見えぬ吾を支ふるボランティアに
      歌誌への投稿欠かす事なし

    にじ300号に寄せて
              国見町 三浦寛
我々を励まし続け300号
      目指せ1000号希望を載せて

    にじと私
             須賀川市 清水茂雄
 「にじ」298号誌上で次々号で創刊300号を迎えると報じておりました。年数にするとどのくらいになるか分かりませんが、実に長期にわたって発行され、その間私たちには他では得がたいような情報を届けてくださいました。本当にありがとうございました。
 私がにじの会に世話になるようになりましたのは多分1985年(昭和60年)前後になるのではないかと思います。当時「にじ」が発行されていたかどうかは定かではありません。
 私は国立塩原視力センターを卒えて、同期生仲間と交流を目的とした会報を年何回か出しておりました。会報は点字と墨字の双方を発行しましたので、墨字は私のワープロでよかったのですが、点字は部数の都合でボランティアに依頼しなければならず、運良く須賀川市内の方に頼むことが出来ました。プリントはにじの会にやっていただいたのが始まりのようでした。 従ってずいぶん長いことお世話になりました。私の会報は2012年に廃刊となりました。最近はサピエ図書(音訳)を借りて、日々のよすがとしております。どうかもうしばらくは面倒を見ていただければと思います。スタッフの皆様のお元気をお祈りしております。

      お花見ウォーキング

 雪に覆われた冬も終わりを告げいよいよウォーキングの季節到来です。平成29年度第1回のウォーキングは、信夫山の護国神社黒沼神社周辺のお花見と歴史を散策します。今年も桜の花が散る前に見物できますようにと願いを込めて第3水曜日としました。
 日にち 4月19日(水)  小雨決行
 集合  市民会館1階ロビー  11:00
 解散  市民会館1階ロビー  14:00
 昼食と飲み物は各自ご準備ください。
 雨脚が強い場合は市民会館内で過ごします。

      短歌・俳句・川柳

           柳沼友治さん(郡山市)
芽吹き時舞子の町で学び初む

           谷津フク子さん(郡山市)
還り雛震災忘れずいつまでも

           武田栄子さん(福島市)
ガラス越し春の陽ざしを受けて咲く
      鉢植えの花香りはなちぬ

谷田川正さん(郡山市)
桃宴(とうえん)に三味線(しゃみ)を爪弾き我歌う
雛もこぞりて桃花(ももか)踊りぬ

           三浦寛さん(国見町)
残雪のみちのく山形二人旅
      かたりべ列車に心が弾む

           宮崎英幸さん(福島市)
一服の良剤なるか鈴の音と
      紛ふばかりのカワラヒワの声

           穴沢勲さん(会津若松市)
久々の大雪降って想い出す
      幼少時代新聞少年

           矢島秀子さん(南相馬市)
無人駅のホーム怖がる白杖に
      そっと寄り添う声の優しさ

     お知らせ
●JRPS福島から「第11回定期総会と交流会」のお知らせが届いています。
 期日:平成29年5月21日(日)
 場所:郡山市ビッグアイ7階第一会議室
    (024-931-2700) 
 時間:10:30から受付、午前 定期総会、午後交流会、15:00終了
 参加対象者:網膜色素変性症患者(会員)及び家族、付添。参加費は無料。
 申し込み締切:5月5日(金)
 申し込み・問合せ先:090-2367-4816
  takenoro.kennoro.1027@docomo.ne.jp(穴沢さん)

● 列車時刻表が3月4日に改正されました。遅くなりましたが、でき次第お送りしています。あらたにご希望の方はお知らせください。磐越西線の郡山駅と喜久田駅の間に、新駅「郡山富田駅」が、4月1日開業します。また、朝通勤時間帯に郡山~磐梯熱海間で1往復増発されます。

      坂下さんの 「私のおすすめ」

『IQは金で買えるのか、世界遺伝子研究最前線』行方史郎著・・・運動・芸術・文化といった様々な分野で名人・上手と言われるような多彩な人物がこれまで輩出されてきました。その傑出した才能はどのようにして生み育てられてきたのでしょうか。また社会的な生活を維持して行く上で心身の働きに、極めて重篤な差し障りを持って誕生しなければならなかった人々の存在。これらの能力の違いについて、古来日本人の中でも尽きせぬ関心の対象とされてきました。
 曰く「蛙の子は蛙」「鳶が鷹を生む」「石の上にも三年」そして「氏より育ち」と。実に味わい深い言葉が残されています。これらの能力の差は個人の力ではいかようにもなしがたいものであります。そしてそれと同時に決して人間一人一人を選別するものではなく、それぞれの立場、あり方に伴って、置かれた場所・生きて行く立場に従い花開き誇り高く生きて行くことこそが寛容であるとも教え諭してきました。
 「駕籠に乗る人担ぐ人 そのまた草鞋を作る人」これまた味わい深い警句ではありませんか。尋常小学校を卒業し、努力に努力を重ねて日本国総理大臣まで勤められた苦労人・故田中角栄氏が折に触れては好んで口にしていた言葉だと言われます。
 これらの人間の全ての優劣特性を決定付けている生物学的遺伝子の研究が今新たな局面を迎えているようです。アメリカではそれら優れた遺伝子特性を引き継ぐためにノーベル賞受賞者の精子が高額で売買。日本国内でも一流大学の学生の精子や卵子が売買されていると言われます。最近ではそれらを読み解いて行く中で病気発症・運動能力・知的能力、さらには肌の色・髪の色・目の色、それらの優劣特性を決定付ける素因が判明してきたというのです。
 乳癌遺伝子を特定したハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさん(37)が、発病以前に乳癌予防のために、両胸の乳腺切除の手術を行ったというニュースは世界中を駆け巡り驚きを持って迎えられました。また出生前診断により重篤な病を発症する遺伝子が特定された場合にすでに妊娠中絶が多数行われているようです。そして事態はさらに加速しこの遺伝子内容を操作することにより身体特性はもとより知能指数さえ任意に高い水準へと誘導した人間を誕生させることまでできるようになりつつあると言われます。
 古来日本人は「努力」「勤勉」「謙虚」といった徳目を人としての振る舞いとして尊んできました。しかしそれさえも遺伝子素因により先天的に決定されていると唱える生物学者も出てきました。つまりは努力が足りない、我慢ができない、不真面目、不品行、それらは遺伝子の欠損による先天的なものであるために個人の責任に帰することはできないというのです。
 これらの学説が生物学の体制の中において影響力を持つようになったとき、凶悪犯罪者・テロリストといった卑劣な人間の犯罪素因・真因として注目され、本人の責任能力を問うことはできないとして法廷闘争の中で激しい弁論が繰り広げられることになりそうです。「おいおい そこまで言うか!」思わず突っ込みを入れたくもなります。
 かつて人類は劣悪な血筋を断絶させ、優れた血筋のみを残して行くという企てを幾度となく繰り返してきました。優生学思想です。著者は生物学者・思想家・宗教家・政治家・一般大衆にも幅広く取材源を求めつつ現状を披瀝し人類の未来のあり方を問いかけています。最先端科学により新たに示されつつある手法で可能となった新しい優生学。今私たち人類はその是非を、あるべき姿を判断しなければならない重大な局面に立たされているのかもしれません。(点訳・音訳あり)

お問い合わせ先

特定非営利活動法人にじの会


〒960-8074
福島市西中央2丁目23-1
TEL:024-529-7021
FAX:024-529-7031

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