にじ309号

  あけましておめでとうございます
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2018年(平成30年)、皆様良いお年をお迎えのことと存じます。
 当会も活動開始以来35年を迎えますが、これまでと変わらぬ姿勢で、会員一同着実に活動を続けていきたいと思います。
 2017年は、会津若松市でのミニ交流会・白杖体験会の開催で、なかなかお会いできない方と親しくお話したり、あらたに当会を利用してくださる方もできました。単独の白杖訓練の希望も増えました。今年も、福島を飛び出して、ミニ交流会を行う予定です。
 当会の基本である情報提供活動はもちろんのこと、ウォーキングや点字習得のお手伝い、対面音訳、歩行訓練などのサポート活動も着実に進めていきたいと考えています。
 皆様にとって、平成30年が良い一年となりますように。

   バザーへのご協力ありがとうございました

 今年もバザーへのご協力ありがとうございました。年々、お買い物に来てくださる方が多くなり、10時開店なのに、早い方は8時台から並んでくださるという大盛況で、順番の札をお渡しして車の中などでお待ちいただきますが、寒さの中ありがたいことですが、風邪など体調面も心配になります。
 この建物に移った当初は「広い!」と感激していたのですが、100人以上の方が一斉に建物内になだれ込むと、売り場担当や案内のボランティア会員も混ざって、身動きできない状態となり、会場もどうにか工夫をしなければと、嬉しい悲鳴です。
 おかげさまで例年どおり1日で約30万円の売り上げがありました。会の活動に有用に使わせていただきます。ほんとうにありがとうございます。
 混雑の熱気の中、買い物をするのもバザーの醍醐味ですが、じっくり、ゆっくり掘り出し物が探せるアフターバザーも大好評でした。毎日、毎日お買い物いただき、こちらもありがたい収入になっています。バザー後1ヶ月程度、センター内に展示しています。
 また、来年も工夫を凝らして開催しますので、お楽しみに!

   バザーに参加して
               郡山市 柳沼友治

 天気予報が良い方にはずれ、バザーの最中は日が射したり曇ったりの、まずまずのお天気になりました。
 私が会場に着いたのはオープンより30分余りも前だったのですが、例年通りに長い列が出来ていました。定刻の10時にスタートとなりましたが、ほとんどの皆さんが欲しいと希望している野菜や果物、お酒類やシーツ・バスタオル、それに手作りケーキの売り場には人だかりが出来、よほど積極的で、体力のある人でないと買いそびれてしまいます。毎度のことながら、どのくらいの広さがあるのかはっきり分かりませんが、1階も2階も人で埋まってしまうのですから、あの熱気には圧倒されてしまいます。車椅子の私は身動き出来ない状態で、かえって邪魔になっているような具合です。それでも、その熱気は1時間もすれば一気に覚めてしまい、近所のおばさん達はどんどん姿が見えなくなります。どうしても視覚障害者の皆さんが最後までのこり、何か掘り出し物はないかと熱心に会場内をくまなく見て回っています。少し遅くまで残っていた皆さんは、にじの会で準備して下さったトン汁定食に舌鼓をうって、体を温めていました。今回も懐かしい人に会うことが出来、しばらく近況などのおしゃべりをすることが出来ました。また、笑えたエピソードと言えば、キウイの入った袋を、「ジャガイモがあるーっ」とばかり勢い良く買い求めていた人が何人かいたことでした。
 買い求めたかった品物はごく一部しか買えませんでしたが、帰宅後に計算してみましたら、思いの外多額になっていたのには驚いてしまいました。親戚などにも御裾分けが出来、大変喜ばれました。
 さてさて、来年はどんなお宝が積まれているのか楽しみを残して帰路に着きました。

   カレンダーいろいろあります

 2018年の点字・音声のカレンダー・暦がいろいろあります。ご希望の方は、お申し込みください。
 ・毎年、贈呈されます「小鳩文化カレンダー」はお申し込みの方にお送りしています。新たに希望される方はお申し込みください。
 ・りそな銀行からいただいている1年間が1枚に収められた大型の点字カレンダーは、壁に貼って使います。1ヶ月ずつ切り離すこともできます。
 ・にじの会で点訳・音訳しています「神宮館家庭暦」(高島易断所発行)は、点訳は全2巻(1巻は暦、2巻は運勢)、音訳はデイジー版です。
 ・NHKラジオ深夜便「誕生日の花カレンダー」を点訳しました。日付・曜日・24節気などの他、毎日の誕生花と花言葉が入っています。点字で64ページです。

  サウンドテーブルテニス講習会

 これまでは、それぞれ工夫して楽しんできましたが、ルールや練習法も少しずつ身につけて、将来は試合形式でも楽しめるようになればいいのではないかということで、講習会を開催することにしました。
 日にち:2018年2月7日(水)
 時間:13:00~15:00
 場所:サポートセンターにじ1階
 講師:白崎正彦氏(神奈川県ライトセンター)
 神奈川県ライトセンターでは、毎年卓球大会を開催するほどサウンドテーブルテニスが盛んです。白崎さんは、サウンドテーブルテニスに限らず、フロアバレーボール、フライングディスク、スキー、シンクロナイズドスイミングなどをライトセンターを利用される方と一緒に楽しんでおられます。お願いしたところ快くお引き受けくださり「ルールはルールとして大切にしながら、楽しんで技を磨くことも必要かなと思います。」と話してくださいました。
 参加者は、サポートセンターで月・水・金にサウンドテーブルテニスを楽しんでいる方、また、これから参加したい方もOKです。会場の広さの関係で8名程度とします。参加希望の方はお申し込みください。

   1月のヨーガ教室

 1月のヨーガ教室は1月24日(水)10時から12時です。毎回参加の方はお忘れなく。新たな参加もお待ちしています。2時間で気持ちも体もすっきりしますよ!

    短歌・俳句・川柳

           柳沼友治さん(郡山市)
雪虫の舞いて阿武隈川静か

           矢島秀子さん(南相馬市)
眠れない夜が辛いと友の声
      われも悩みを聞く歳になり

           穴沢勲さん(会津若松市)
雪道を長靴はいてザクザクと
      転ばぬようと白杖握る

           宮崎英幸さん(福島市)
荒川の水引き込みて設(しつ)らへし
      堀をめぐらす旧佐久間邸

小板橋順二さん(猪苗代町)
木枯らしに立ち向かうごと浅間嶺は
天にそびえて煙たなびく

武田栄子さん(福島市)
カラカラと走る落ち葉の音聞きつ
晩秋の夜に読書楽しむ

谷田川正さん(郡山市)
一年を暮らしあれこれかえりみて
想い重ねつ大晦日(おおつごもり)へ

           三浦寛さん(国見町)
高齢化柿を取らずに暖を取り
      窓から眺めるカラスのえさ場

谷津フク子さん(郡山市)
お正月餅つく音も聞こえない

           菅野康男さん(福島市)
百八つ今夜ばかりは手動式

荒川
福島市 宮崎英幸
川砂利を運ぶトロッコの置かれゐし
乗りて遊びき吾が少年期
両岸に対峙したりし町と村
少年吾ら石投げ合ひき
幾度(いくたび)か氾濫したる荒川に
      畑(はた)の作物流されたりき
荒川の整備に堤様変わり
      桜並木の名所となれり
吾が町の貸農園を利用して
野菜取り入る人の幾人(いくたり)

    Tさんの 「私のおすすめ」

『散文詩集「深呼吸の必要」』長田弘著
     「おおきな木」
  大きな木をみると、立ちどまりたくなる。
  芽ぶきのころのおおきな木の下が、きみは好き  だ。目をあげると、日の光りが淡い葉の一枚一枚 にとびちってひろがって、やがて雫のようにした たってくるようにおもえる。夏には、おおきな木 はおおきな影をつくる。影のなかにはいってみあ げると、周囲がふいに、カーンと静まりかえるよ うな気配にとらえられる。
  おおきな木の冬もいい。頬は冷たいが、空気は 澄んでいる。黙って、みあげる。黒く細い枝々が、 懸命になって、空を?もうとしている。けれども、 灰色の空は、ゆっくりと旋(めぐ)るようにうごいている。 冷たい風がくるくると、こころのへりをまわって、 駆けだしてゆく。おおきな木の下に、何があるだ ろう。何もないのだ。何もないけれど、木のおお きさとおなじだけの沈黙がある。

 長田弘は福島県出身で、平成27年5月に75歳で亡くなりましたが、詩やエッセー、翻訳など、数多くの作品を残しました。彼は、大学を卒業後間もなくの1965(昭和40)年に第一詩集『われら新鮮な旅人』を出版しています。『深呼吸の必要』は1984(昭和59)年に出版されました。「あのときかもしれない」9篇と「おおきな木」24篇の2章33篇から成る散文詩集です。長田弘には数多くの「木」や「樹」の詩がありますが、上記の詩は第2章「おおきな木」の冒頭に置かれた詩です。
 彼はかつて母校の福島高校で講演をし、「わたしの考え方、感じ方をつくったのは、みなさんと同じようにして、高校時代までを過ごしたこの福島の街の毎日でした。」と語りました。また、ほかの著書では「学校ほど故郷のイメージを叶える場所はたぶんないのだ」と書き、学んだ小学校や中学校の思い出を述べた後に「ひときわおおきな欅の木がおおきな枝々をいっぱいにひろげていた、長い長い板張りの、木の廊下のつづく高校」とも書いています。
 また、NHKの対談番組では周囲に木がふんだんにあった少年時代のことを聞かれ、「自分にとってはいつも木が目安になった。あの木がある、誰それ君の家などと、何でも木を中心にして考える。知り合いの木というものを見ると、何となく挨拶したがる。こんにちは、とか、元気とか。」「そういう風景そのものを生きている」と話しています。
 冒頭の詩「おおきな木」に戻りますと、芽吹きのころの大きな木の下で、日の光やカーンと静まりかえった気配を、耳を澄まして全身で感じとったり、澄んだ冬の空気の中、沈黙の世界で大きく深呼吸する心地よさを感じ取ったりできるのではないかと思います。
 この詩集には、路地や花屋の店先、公園、山あいの道、海辺の道など、特別ではない、私たちの身近な場所を、何も持たずにただ歩く、立ち止まる、そしてそこで感じたことが、平易で分かりやすい、しかもよく選ばれた言葉で表現されています。言葉一つ一つの持つ深い思いが伝わってきます。
 作者は後記で「本は伝言板。言葉は一人から一人への伝言板。(中略)一人から一人への密かな言葉だ。伝言が親しくとどけば、うれしいのだが。」と書いています。(点訳・音訳オーディオブックあり)

お問い合わせ先

特定非営利活動法人にじの会


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